新明解国語辞典を読む 001 | |
更新:2006年3月1日 |
『プロローグ』【宿舎】 |
新解さんは一部マニアや、この業界では(おもに自然言語解析をやっていた者)、独自の解説や用例に定評があり支持されていた国語辞典でした。富士通ソーシアルサイエンスラボラトリ(通称SSL)の創立10周年の記念品として社員全員に配られたものが「新明解国語辞典 第三版」で、私のつきあいはここからになります。社員全員に国語辞典を配る会社もユニークですね。言い方を変えれば「変わった会社」でした。 自然言語解析にたずさわっていた人たちに「これは面白い辞書だ」と知れ渡ったエピソードは、次のように聞いています。 電総研(電子技術総合研究所)で、最初に電子化した辞書が「新解さん」だった。これが各メーカに配布され自然言語解析用辞書になったとか。一度、電子化されるとあとは楽になりますね。校正も電子化された差分で配布されることになりました。 普通、差分は誤字といったミスの修正なんですが、新解さんの場合、解説の修正が含まれていたそうです。 しゅくしゃ[2]【宿舎】 (二)公務員などに、不当に安い家賃で提供される住宅。 ↓ (二)公務員などに、名目だけの安い家賃で提供される住宅。 に変わっていたり、「ばかちょんカメラ」がなくなっていたりしており、これは面白い辞書であるということになり、ファンが増えて行ったそうです。 「しゅくしゃ」の「不当に安い」とはなんだと、クレームが来たとか。 三版、四版では「名目だけの安い」に変わっていますが、さらにクレームがきたのでしょう。 五版では以下の通り単に「安い」になりました。 実態は不当に安い家賃で提供される住宅に今も変わりはありません。 しゅくしゃ[2]【宿舎】 (一)旅先の宿。 「国民—」 (二)公務員などに、安い家賃で提供される住宅。 ふとうオ【不当】 第五版 〔その判断や処理などが〕社会通念から逸脱していて、従うことが出来ないと考えられる様子。 先の2書(「新解さんの謎」、「新解さん読み方」)の欠点は他の国語辞典との比較がないこと、理科系語彙の言及がまったくないことです。 ただ「新解さんの謎」ではオノマトペ(擬音語・擬態語)の面白さを教えてもらいました。 岩波さんの「宿舎」 泊まる所。やど。また職員等住居用に建てた家屋。「公務員−」「共同−」 上記のように差障りがありません。 ●ばかちょん・カメラ[5] 第三版 初歩の人でも失敗無しに気軽に撮せる、小型・軽量の自動露出カメラ。 (三版の途中で削除されたはず) |
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