新明解国語辞典を読む 011
新明解国語辞典を読む 011
  更新:2006年11月21日

新解さんと夏目漱石 1
 両書(新解さんの謎、新解さんの読み方)によると新解さんは漱石が好きであると言っています。私もそれは否定しませんがもっと別な理由があるように思っています。両書を例とするなら岩波さんも漱石が好きと言えます。
 漱石の名前が用例に登場することも多く、また漱石の作品からの引用も多い。
(両書は小説から引用を明らかにしていない。小説ではまず引用を見ないので、習慣がないのかも)

 まず漱石が登場する用例
●いくら【幾《等】(副)
〔「ら」は接辞〕
(一)[1] (A)数量の上限を おおよそ…
(B)金額や数量の多少を問題にすることを表わす。
「…/たしか先生は漱石と—も〔=たいして〕違わぬ明治の出生だったと覚えている」

 先生というのが誰かは分かりませんが、もしかしたら山田孝雄氏のことか?

●ちょっと[1]
(三)平均水準を超えていて、無視は出来ない程度であることを表わす。「君には—〔=少しばかり〕むずかしいかもしれない/—〔=かなり〕夏目漱石に似ている/—〔=相当〕手ごわい相手/—〔=大変〕珍しい物をお目にかけましょう」

 日本語の「ちょっと」は、ちょっとではないことを示している。
 少しばかり、かなり、相当、大変があるが定量的には説明がつかないので用例に漱石が登場したでもないだろうが、ちょっと似ている人は上記の先生とは違うようです。


●ごうオ・する[3]:[3]ガウ—【号する】(自サ)
「漱石と—」

●さんぼうオ[0]—バウ【山房】
〔山中の家の意〕 書斎の雅称として用いる言葉。
「漱石—」

●たた・く[2]:[2]【〈叩く】(他五)
…/漱石の門を—〔=教えを請うためにたずねる〕

●あそ・ぶ[3][0]:[0]【遊ぶ】(自五)
(三)〈どこニ—〉 学芸の修業のため、他郷へ行く。
「鎌倉に—/漱石の門に—〔=学ぶ〕」

●みどく[0]【味読】
—する 文章の内容をよく味わいながら読むこと。
「漱石の小説を—する」←→卒読

●ばり【張(り)】(接尾)
(二)有名な人に似ていること。
「漱石—の文章/団十郎—の顔」

●しの・ぶ[2][3]:[2][0]
[一]【〈偲ぶ】(他五)
〈なに・だれヲ—〉 忘れようにも忘れられず心の中に生き続ける 対象の存在や足跡に、今更のように思いを致す。
「…/ロンドンに開設された漱石記念館には、漱石が見た二十世紀初頭の英国を—〔=英国の面影を伝える〕資料が集められている/…」

●ひにんじょうオ[2]—ジヤウ【非人情】
[一]—な/—に 思いやりが無く、冷たいこと。人情が無い様子。
[二]〔夏目漱石の説〕人情から超越して、それに煩わされないようにすること。

「草枕」から新解さん推測のような気がしないでもないが?

 以上のとおり第五版では10ヶ所に登場しています。
 これに対して岩波さんは次の3ヶ所、新解さんの方が多いから好きとも取れます。


★がごう【雅号】
画家・文筆家などが、本名の他につける風流な別名。「蘆花(ろか)」「漱石(そうせき)」の類。

★さんぼう【山房】
<1>山の中の家。山荘。
<2>書斎。「漱石—」▽雅号などに付けて使う。

★ぜんしゅう【全集】
ある人の著作のすべてを集めた書物。「漱石—」。

山房は共通。IMEでは変換できない(候補にもない)

漱石、つづく

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