カラコルムの氷河
1999. 10. 3


写真をクリックすると大きくなります。

氷河とその痕跡について説明します。概略地図を参照できます。
背後の山はナンガパルバッド(8126m) 写真1
写真1の先から谷を見下ろした風景 写真2

 3段の河岸段丘が確認できる。一段は1回の氷河期を示しているらしい。
 最上部にカラコルムハイウエイが走っており、クンジェラブ峠を越え中国へは車で行けるが、外国人は通行が許されいない。
 谷底を流れているのはインダスの本流で、周りの風景があまりに大きいため、自分の立っているところから流までの高さはよくわからない。200mくらいはあるだろう。この地点からナンガパルバットは約7000mの標高差がある。
 ここからインド洋までは1200Km以上あり、ヒマラヤの造山運動をもぶった切るほどの非常な勢いでながれている。流れは山脈を削った生々しい色(生コンを思わせる)をしており、決して澄むことはなくインド洋まで濁ったままである。ナンガパルバットの先にガンダーラがある。500Km程下流になる。さらに下るとモヘンジョダロに至る。
ヒスパー氷河の舌端 写真3
舌端付近横から見下ろす 写真4

 写真1,2を写した地点から200Km程上流に行くとやっと大氷河に出会う。
 写真3から50m以上程、切れ落ちたところに流れがある。インダスの支流であるが大地から吹き出しているように見えた。すでに50m程度の川幅があり、山脈を削った色をしていた。
 撮影地点は約2500mのサイドモレーンから、人間の暮らしはここで終わる。
 このヒスパー氷河は約700年かけて上流から岩を運んで来る。写真4のように表面は数メートルの岩石で覆われており、舌端で体積する。中央は水の浸食で消え、両岸が高い断崖となる。氷河が後退するとこの地形が延々とつづくことになる。このような地形をサイドモレーンという。
クンヤン氷河(4000m地点) 写真5
クンヤン氷河が流れ出す山々 写真6

 ヒスパー氷河の舌端から10Km程逆上り、その支流であるクンヤン氷河をさらに10Km程逆上った地点(標高約4000m)から撮影。
 この付近の氷河の幅は約2Kmある。白く見える氷の固まりは5,6階建てのビルよりも大きい。氷河期はこの風景が写真1の地点で見られたと思われる。
 写真6はさらに数Km上流から撮影。
 氷河はほとんどが岩に覆われていて、その岩の大きさも半端ではない。チョッとしたビルくらいの大きさであった。
写真7
 クンヤン氷河の起点付近から下流を見下ろす

 写真6の正面の山から逆方向に写したものである。
 正面の山はクンヤンチッシュ(7852m)、クンヤン氷河本流までの標高差は3500mを越える。
 氷河の皺は木の年輪と同様にカラコルムでは1年である。モンスーンが年2回あるヒマラヤは2枚で1年となる。

 クンヤン・チッシュは日本ではキャンヤン・キッシュと表記されることが多い。
 現地(ブルシャスキー語)ではキャンヤンでなくクンヤンと聞こえました。
 チッシュは山のことで、これは明らかにキッシュではなくチッシュと発音されていました。

戻る